①2021年発売の新しい多焦点眼内レンズ・シナジー(連続焦点)も対応
2021年4月発売の多焦点眼内レンズシナジーは2焦点と焦点拡張型の2つのタイプを合わせたレンズ設計です。
詳細なアンケートと目のデータをもとに、どういう見え方を選択するかご相談します。ある程度乱視が強い方も多焦点を選んでいただくことが可能です。
②OCTでの眼底の検査や角膜形状解析での詳細な角膜データから適応レンズを選びます。
③お勧めするレンズの利点・欠点を明確にお話しします。
若返りの手術ではなく、あくまでも人工のレンズに白内障が置き換わるわけです。何かしらの技術的な限界は各レンズありますので、何が期待出来て何は妥協するべきか、をわかりやすくご案内します。例えば、3焦点(自由診療)はある種の2焦点レンズよりはコントラストが悪くなる、など。
④ご家族の手術見学が可能です。
窓越しに手術室全体を見ることが可能で、モニターで術者画像を見ることができます。透明性の高い医療を提供しています。
単焦点レンズと多焦点レンズの見え方の違いの例
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各多焦点眼内レンズの違い どのレンズもハローグレアはあり、瞳孔の大きさには影響をうけます。
近視・遠視の度数や乱視の度合いに応じて選べるレンズが異なります。
40cmと遠く、50cmと遠くのタイプが眼鏡に頼る頻度は少ないです。
焦点深度拡張型(遠くの奥行き感が取りやすくなる)は遠方と33~50cmが見やすいタイプに比べ遠くのはっきり感が強くなっています。そのかわり近くは老眼鏡使うという前提です。
3焦点は手元も中間も遠方も見えますが、それぞれのくっきり見える度合いは50cmと遠くのタイプや焦点深度拡張型より落ちます(コントラストの低下)。
![]() | HOYA社 AF-1 iSii(アイシー)遠方と40~50cmの中間が見やすい。高齢者でも遠方視力がすっきりでる。中間距離のくっきり感も強い。光のロスがなく100%入るので、多焦点の中ではもっとも明るく、コントラスト感度が落ちないためシャープな見え方(くっきり・はっきり感が強い)です。 33cmぐらいの近さは弱いので近用眼鏡を使用する場合がありますが、焦点深度拡張型より遠くも近くも視力がいい。夜の光のぎらつき感(ハローやグレア)はそれなりにある。近視が強い場合、合う度数がないことがある。 | 光のロス 0%屈折型近方焦点:40~50cm乱視対応:なし |
![]() | Alcon社 レストア乱視対応レンズがある。遠くと42cmぐらいの手元が見える。暗いと遠くが見やすく手元が見づらくなるが、夜間光視症(グレアやハロー)が回折型より抑えられる。くっきり見える感じ(コントラスト感度)は屈折型や焦点拡張型の方がよい。 | 光のロス20%程度アポダイズ回折型近方焦点:42cm乱視対応:あり |
![]() | Alcon社 アクティブフォーカス2018年7月発売の最新のレンズ。乱視対応レンズがある。夜間光視症は多焦点レンズの中では最も抑えられていると想定されるので夜の運転重視の方には好まれる。回折型の遠近タイプのくっきり感が弱い(コントラスト感度が落ちる)という欠点を克服するため近くを妥協し遠くのくっきり感を強くした焦点深度拡張型というタイプのレンズですが、遠くと目の前50cm(眼鏡面で2.0D加入の効果)のところが見やすい設計です。その代り手元は老眼鏡を使う前提。近方焦点は50cmといっても屈折型や回折型の50cmタイプほど近くの視力はでない。 | 光のロス:6~8%程度焦点深度拡張型(アポダイズ回折型)近方焦点:50cm乱視対応:あり |
![]() | Alcon社 パンオプティクス3焦点。40cm、60cm、5m程度の遠方の3点にバランスを取って光を配分。乱視対応レンズがある。焦点深度拡張型や屈折型のレンズに比べ、コントラストの低下がある(くっきり感が落ちる)、夜間光視症(ハロー・グレアといって光がぎらついたり、光の周りにボケを感じる)は強い。しかし、焦点拡張型よりは手元は見やすい。光学的に複雑で、視力がある程度すっきりでてくるまでに(脳が情報処理になれるまでに)2週間から4週間程度要する方もいます(高齢の方の方がより時間がかかります)。 | 光のロス20%程度アポダイズ回折型近方焦点:40cm乱視対応:あり |
![]() | ジョンソン&ジョンソン社 シナジー2021年4月発売の国内承認の多焦点眼内レンズの最新のもの。3焦点よりより遠くと近くの見え方を重視しながらも中間部分の見づらさを改善。特に薄暗いところでのくっきり感(コントラストがよい)が特徴。夜間光視症(ハロー・グレアといって光がぎらついたり、光の周りにボケを感じる)は焦点拡張型より強い。 | 2焦点と焦点拡張型を合わせたレンズ設計。回折型近方焦点:35cm程度乱視対応;あり |
費用:選定療養(白内障手術代のほかに以下、多焦点レンズ代がかかります)
術後の診察・投薬は単焦点同様で健康保険の適応でその都度費用が必要です。(詳細準備中・感染対策や電話等再診のシステム導入を優先しており、選定療養の準備は遅れております)
費用:自由診療(手術代+多焦点レンズ代+術後1~3か月の診察・投薬含む)
乱視無しレンズ | 乱視ありの加算費用 | |
2焦点(片目・税抜) | レンズの種類によります。院内でお尋ねください | 5万 |
3焦点(片目・税抜き) | 院内でお尋ね下さい | 5万 |
術前検査後、乱視矯正対応レンズか否かはご相談の上決定します。
多焦点眼内レンズについてよくある質問
Q1.多焦点眼内レンズはどの眼科でも扱っていますか?
すべての眼科で取り扱っているわけではありません。
院長は多焦点レンズの黎明期から使用実績があり、2020年3月に先進医療が終了するまで先進医療認定施設(厚生労働省が認定)として国内承認多焦点レンズすべてに対応しておりました。
Q2.多焦点眼内レンズと単焦点眼内レンズの違いはなんですか?
ピントが合う距離が1つなのが単焦点です。通常の保険適応の白内障手術はこちらです。
単焦点でも人工のレンズなので、夜間光視症(ハローやグレアなど、夜の光のぎらつき)は出ます。
単焦点はピントが裸眼で合う距離が一つなので、視力は早めに出てきます。
多焦点には主に遠くと近くか遠くと中間の二か所にピントが合う2焦点、40cm・60cm・遠くが見やすい3焦点、その他乱視対応などがあります。多焦点の方が脳での情報処理になれが必要で視力が出てくるのに2~4週間程度かかってしまう方もいます。
多焦点にもいろいろなタイプのものがあり、そのレンズにも利点と欠点があります。問診で術後にどんな見え方になりたいかを聞き、最適と思われるレンズの組み合わせを提案します。
Q3.多焦点眼内レンズには健康保険がききますか?
自由診療での手術は、術後の診察・投薬も健康保険が使えません。
選定療養・多焦点眼内レンズ(2020年4月からの新しい制度)では手術は健康保険ですが、多焦点眼内レンズのレンズ代と多焦点ならではの検査は選定療養になり、消費税もかかります。術前検査や術後検査、術後の薬は健康保険の適応になりますが、万一見え方になれなくて単焦点に入れ変えたい、ということがあってもそれは自由診療になってしまいます。新しい制度のため、今後の制度変更により費用も含めいろいろ変わってくる可能性があります。
Q4.川越西眼科の多焦点眼内レンズの白内障手術はだれが執刀しますか?
角膜移植、硝子体手術も執刀する院長が行っております。
Q5.川越西眼科ではどのくらいの患者さんが多焦点眼内レンズの手術を行いましたか?
およそ1割の方が多焦点眼内レンズで手術を受けられています(2020,3月までの実績)。
Q6.多焦点眼内レンズにはいくつかの種類があるとききました。川越西眼科ではどのような多焦点眼内レンズを使用していますか?
2焦点から3焦点、乱視対応レンズまで、詳しくは10種類以上になります。 どのレンズにも多少の欠点があります。夜運転をする方には光のぎらつきが少ないもの等、お一人お一人のニーズと瞳孔などの状態、妥協してもいい部分をお聞きして最適と思われる提案をします。しかし、片目が終わって物足りなさを感じられる場合は次の眼に入れるレンズを当初予定から別のものに変更することも提案させていたくこともあります。
Q7.多焦点眼内レンズは誰にでも入れられますか?
チン氏帯が弱い、すでに進んだ白内障以外の病気がある、などの場合はお勧めしません。ほか、くっきりはっきり細かくものをみたいなど、その方の見え方に対するご希望により、単焦点の方をお勧めすることもあります。以前より多焦点眼内レンズの種類が増え、以前では適応ではなかった方でも多焦点を選択していただけることが増えました。
Q8.自分は30歳です。他の病院で白内障と言われ、だいぶ進行していると言われました。手術で多焦点眼内レンズは使用できますか?
若い方の白内障は、外傷やアトピー性皮膚炎などでチン氏帯が弱いこともあります。チン氏帯が弱くてレンズが瞳孔の中心とずれるとかえって多焦点ではなく単焦点の方が見やすくなります。チン氏帯がどの程度弱いかは手術の時に触ってみて初めてはっきりします。
そのため、多焦点ご希望であればその方向で準備しますが、単焦点も入れられるように第二希望レンズ準備しておきます。最適なものを入れられるように、バックアップをとってお一人お一人の手術の準備をしております。
Q9.片目はすでに他の病院で単焦点眼内レンズによる白内障手術を受けました。最近になって片目が白内障と言われました。片目だけでも多焦点眼内レンズを受けられますか?
入れられますが、どのような見え方を期待してのご希望かをまずしっかり伺い、最適と思われるものをご説明します。片目だけでは期待しているものに対して効果が薄いこともあり、ここは眼鏡があった方がいいけど、こういう場面の満足度はあがる、というようにご説明して納得して選択していただけるように心がけています。単焦点の方をお勧めすることもありますし、自由診療で単焦点の上に多焦点のアドオンレンズを提案することもあります。
Q10.他の病院で多焦点眼内レンズについて質問したら、多焦点眼内レンズはあまりよく見えないと言われました。本当ですか?
多焦点にはいろいろなレンズがあり、それぞれ利点もあれば欠点もあります。コントラスト感度といって、くっきり感が単焦点に比べると劣る多焦点レンズもあります。コントラスト感度が落ちない多焦点眼内レンズもありますので、一概には言えません。単焦点の方がその方にとってはよいと思われる場合もありますので、そのような表現でお話しされたのかもしれません。また、多焦点は複雑な構造のレンズのため、高齢になると新しいレンズを通した見え方に(脳が情報処理に)慣れるのに時間がかかることもあります。若い方に多焦点を入れると翌日から1.0の視力が出てもたとえば80代の方にいれたら、1か月目は0.7、2か月目に0.8、3か月目に1.0と徐々に視力が上がることもあります。
Q11.多焦点眼内レンズにすれば手術後に確実にメガネが不要になりますか?
眼鏡に頼る頻度が少なくなるレンズ、と考えてください。
実際に眼鏡をほぼ使わない方もいらっしゃいますが、近くも遠くも中間もはっきり見たい方は苦手な場所は眼鏡を使っています。暗いところでは近くのものが見づらくなることもあり、その場合はスポットライトで明るくするか、老眼鏡を使ってくださいとお話ししてます。
また、高齢になると瞳孔の大きさが小さくなり多焦点の効果が薄る、もしくは加齢により乱視が強くなり乱視のメガネが必要になることがあります。
Q12.過去にレーシックを受けています。ほかの病院で白内障と言われました。白内障手術で多焦点眼内レンズは使えますか?
レーシックを受けているとコントラスト感度は下がっていると思われます。多焦点はコントラスト感度が落ちるものがあり、レーシックを受けていない人よりくっきり感が乏しくなる可能性はあります。しかし、コントラスト感度が落ちないものもありますので、入れるレンズに関してはご相談ください。
Q13.老眼が強くなり、新聞が読みにくくなってきました。多焦点眼内レンズによる白内障手術はできますか?
多焦点をお勧めしない方はすでに進行している白内障以外の眼の病気がある方です。診察を受けて、老眼だけなのか、白内障なのか、それともほかの病気なのかをまずはっきりさせましょう。白内障が無い老眼だけの状況では、自由診療として多焦点を入れることは可能ですが、選定医療として多焦点を入れることはできません。
Q14.多焦点眼内レンズは経済的に難しいのですが、単焦点眼内レンズではよく見えないのでしょうか?
多焦点は眼鏡に頼らずに見える距離が広く(多く)なるものです。単焦点でも、近くでも遠くでも、中間でもそれに適した眼鏡を使えば見えます。
Q15.白内障ではないが、老眼なので(もしくは左右のバランスが悪いので)多焦点眼内レンズの手術は受けられますか?
手術は可能ですが、自由診療になります。
Q16.多焦点眼内レンズは、遠近両用メガネの様に階段の上り下りや読書の時にコツや注意が必要ですか?
眼鏡の遠近両用のようにここの部分を通してみてください、顎を引いてみてください、という事はありません。
Q17.多焦点眼内レンズの適応って?
白内障以外の角膜変性や進行した緑内障、網膜剥離・加齢性黄斑変性などの網膜疾患がある方等、見る感度が落ちている方には遠くと33~50cmが見やすいタイプはコントラストが単焦点より悪いためお勧めしません。しかし、乱視対応レンズが出てきたり、コントラストが落ちにくい焦点深度拡張型と言われる多焦点レンズが登場し、乱視や軽度の緑内障・網膜病変の落ち着いた方など、適応は広がってきています。
Q18.夜間光視症(ハロー・グレア)ってなに?
夜暗いところで光の周りにぼやっとしたかさがかぶって見える、光がぎらついて見えるなどです。人工のレンズを入れるわけで、単焦点眼内レンズでもおこりますが多焦点のレンズの方が複雑なレンズなので、単焦点よりは強くなると想定されます。多くは頭が見え方の補正をしてくれるようになり、徐々に気にならないレベルに落ち着きますが、そもそも人工のものですので全く若いころの見え方に戻るというものではありません。
Q19.見え方が気に入らなかったら別のレンズに入れ替えられる?
多焦点を取り出し単焦点にすること自体は可能ですが、小さい傷から丸めて目の中で広がったものを、また透明のすごく薄い水晶体嚢という袋の中に納まっているものを取り出すのにはリスクがあります。取り出しは多焦点の手術代に含まれておらず、別の自由診療として行わなければならないため費用も高額になります。さらに、時間がたてば水晶体嚢は癒着しより取り出しにくくなりますので、水晶体嚢に入れられず逢着などの手術で対応しないといけない可能性があります。入れ替えを前提にしない慎重な検討を術前にお勧めしますし、ご心配なら片目の手術ののちもう片目まで2週間程度あけておくと、もう片方のレンズの種類を変更するなどの対応がしやすいし、納得感もあります。