角膜移植

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目次

角膜の役割と角膜移植

角膜

角膜とは目の中央に位置し、直径約11mm、厚さ約0.5mmの黒目部分を覆う透明な膜の部分を指します。

角膜の役割
①壁として外界からの刺激や細菌、病原体の侵入を防ぎ眼球を保護する役割
②目の中に入ってくる光を屈折させる役割

角膜が病気やケガによって濁ったり、変形を起こすと上手く光を通せず著しい視力低下を招き、最終的には失明に至ります。

角膜は表面から角膜上皮層、ボウマン膜、角膜実質層、デスメ膜、角膜内皮層の5つの層で成り立っています。従来の角膜移植では、この角膜全層を入れ替える(角膜全層移植)が主流でしたが、現在は技術進歩によって移植を必要とする層だけ移植を行えるようになりました。

角膜移植の原疾患と適応について

角膜移植は角膜が本来もつ機能が損なわれた場合かつ点眼やその他の治療で、治療が難しいと判断された場合に適応となります。具体的には下記の通りです。

  • 角膜が混濁した場合
  • 角膜が光を正しく屈折しない場合
  • 角膜に穴が開いた、もしくは穴が開きそうな場合

角膜移植が適応となる疾患にはいくつか種類があります。

円錐角膜

円錐角膜とは、目の内側からの圧力に対して角膜実質の脆弱性と角膜の菲薄化(ひはくか)によって耐えられず、円錐状に突出してくる進行性の病気です。10~20代で発症することが多く、主に30代で進行が止まることが多いですが、個人差があり30歳を超えてからも進行することがあります。原因はよく分かっていませんがアトピー性皮膚炎と合併していることが多いです。治療は症状の程度に応じて段階的に行うことが多く、中等度の症状まではハードコンタクトレンズによる矯正が一般的です。円錐角膜が進行し、ハードコンタクトレンズでの矯正が難しい場合、コンタクトレンズ自体の装用が難しい場合には角膜移植を検討することがあります。

水疱性角膜症

水疱性角膜症とは、角膜に水疱状の腫れを生じ、角膜の機能不全が起きる眼疾患です。

角膜の5つの層のうち、最も内側にあたる角膜内皮には角膜内皮細胞が並んでいます。角膜内皮細胞はポンプの役割を果たし、角膜内の水分量を調整しています。この角膜内皮細胞が何かしらの原因で減少すると、角膜内に水分がたまりむくんだ状態=水疱性角膜症になるわけです。白内障手術をはじめとする眼科手術後や角膜移植後の拒絶反応によって生じることがあります。

角膜炎後の角膜混濁

角膜炎とは、主にウイルスや細菌の感染によって角膜に炎症を起こした状態です。角膜炎後、稀に濁りを残すことがあります。角膜の混濁が重篤な場合には、角膜移植を検討する場合があります。

角膜変性症

角膜変性症とは角膜ジストロフィともいい、両眼性かつ遺伝性の眼疾患であり、多くの種類があります。顆粒状(かりゅうじょう)角膜変性症、格子状角膜変性症、斑状角膜変性症などが代表的です。治療は段階的に実施しますが、改善が見られない場合には角膜移植を検討します。

角膜移植の種類

現在、角膜移植は全層を移植する「全層角膜移植」、角膜内皮から外側にあたる角膜上皮と角膜実質を移植する「層状角膜移植」、「角膜内皮移植」の大きく3種類があります。角膜の混濁の程度のよって適当と思われる治療法を選択します。

全層角膜移植(PKP)

角膜の表面から内側にいたるすべての層を移植するのが全層角膜移植です。全層角膜移植は100年以上の歴史を持つ術式です。角膜の表面だけでなく、角膜実質、角膜内皮にまで異常がある場合に選択します。ナイロンの極めて細い縫合糸で提供された角膜を縫合します。もっとも一般的な手術手技ですが、内皮型拒絶反応が起こったり、乱視が残ったりするリスクがあります。

層状角膜移植(LKP/DALK)

角膜上皮層、角膜実質層までを取り替える手術です。最も内側に位置する角膜内皮層は、患者様ご自身のものを残せるため、拒絶反応のリスクを低減できることがメリットです。ただし、角膜実質層の接着面にかすかな混濁が残ったり、乱視が残ったりするデメリットがあります。

角膜内皮移植(DSAKE/DMEK)

角膜の最も内側に位置する角膜内皮層のみに障害が認められる場合に内皮層のみを取り替えます。角膜周辺部に数mmの切開創から患者様ご自身の角膜内皮を取り除き、提供角膜の内皮層を移植します。角膜の縫合部分が少なくて済むため、移植後に乱視が残りにくいというメリットがあります。内皮型拒絶反応のリスクはあります。

当院の角膜移植について

当院では、国内とアメリカのアイバンクと提携をしています。

日本における角膜の提供数は十分ではなく、待機時間や突然の手術の提案などが発生します。アメリカのアイバンクと提携することにより、概ね事前にスケジュールを組んだ予定手術が可能となります。

基本的には、低侵襲(患者様の心身に負担の少ない)な治療からご案内させて頂きます。

視力回復、疼痛(とうつう)の改善、整容上の改善などのメリットがある一方、合併症のリスクや術後ケアの手間などのデメリットもあるため、治療は慎重に検討する必要があります。移植を受けないという選択もあります。

角膜移植の待機時間について

当院で提携を行なっている国内のアイバンクでは角膜移植までの待機時間は現在1年半程度となります。待機登録をご希望の場合は外来時にお申し付けください。アメリカからの輸入角膜の場合は、手術決定より約1.5ヶ月後に手術日の設定が可能です。国内ドナーを用いるか、輸入角膜を用いるかについて詳しくは外来時に当院理事長の本間理加医師にご相談ください。

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休業日/日・祝
この記事の監修者
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医療法人七彩
理事長 本間 理加 医師
これまで大学病院に長く従事し、白内障手術をはじめとして、網膜硝子体手術、緑内障手術、眼瞼下垂、角膜移植など様々な眼科手術に豊富な執刀実績を持ちます。現在医療法人七彩の理事長として川越エリアを中心として手術に特化した眼科クリニックを2医院展開しています。
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