逆さまつげ(眼瞼内反症、睫毛内反・乱生症)
逆さまつげ(内反症)とは、本来外側に向けて生えているはずのまつ毛が眼球内側に向かって生えているために、まつ毛が眼球に触れてしまい、目の表面にあたる角膜や結膜を傷つけやすい状態のことです。逆さまつげを細かく見ていくと眼瞼内反症、睫毛内反症、睫毛乱生症などいくつかのタイプが存在します。この記事では、逆さまつげの種類や症状、原因、治療について解説します。
目次
まつ毛の役割
まつ毛はゴミやほこりなどの異物、汗が目に入るのを防ぐなど外界から目を保護する役割を担っています。また、まつ毛の毛根周辺には知覚神経が多く存在しており、まつ毛の根元付近を触ったり、異物があたったりすると反射的に目を閉じるようになっているため、センサーのような役割も持ちます。
眼瞼内反症
眼瞼内反症は、まぶた自体が眼球側にめくれた状態です。
まぶたの先端にまつ毛が生えていますので、まつ毛が眼球に接触してしまうわけです。
眼瞼内反症には、先天性のものと老人性の2種類があります。
先天性眼瞼内反症
生まれつきの内反症です。成長と共に改善していくこともありますが、小学校高学年でも治らずに症状が強い際には手術を検討します。
老人性眼瞼内反症
加齢によって眼瞼の皮膚のたるみ(皮膚弛緩)やまぶたを支える組織が緩んでくると、まぶたが内側にめくれてまつ毛が眼球に当たりやすくなります。老人性眼瞼内反症は、70代の方の約3%、80代の方の約5%に見られるとされています。
睫毛内反症
多くの場合は生まれつきのもの(先天性睫毛内反症)です。まつ毛の生え方は正常ですが、まぶたの皮膚が多いことによってまつ毛が内側に押し倒されている状態です。
子どもに症状を注意深く見ることが大切
睫毛内反の子どもは、目に違和感を感じるのでよく目元を触ったり擦ったりします。しかし、まつ毛が眼球に触れる状態に慣れてしまっているので、自分から症状を訴えることは殆どありません。そのため保護者の方は子どもの行動を注視したり、症状について問いかけることが大切です。
代表的な症状
目やにが多い
目が潤んでいる
充血しやすい
目をよく擦っている
顎を引いてモノを見ている
眩しそうにモノを見ている
睫毛乱生症
まぶたの位置は正常ですが、まつ毛の生える向きが乱れていることによって、まつ毛が眼球にあたる状態です。これを睫毛乱生(しょうもうらんせい)といいます。
逆さまつげの治療法
逆さまつげの治療では、患者様の症状に合わせて術式の選択を行います。
埋没法(上まぶた)
医療用の糸を用いてまぶたの先が内側ではなく、外向きになるように修正する手術です。
まぶたの内部の組織である瞼板や眼瞼挙筋と皮膚を糸で結んで二重まぶたの構造を作ることによってまぶたの先が内側に向くのを防ぐことができます。逆さまつげが軽度の場合に用いることが多いです。
埋没法(下まぶた)
上まぶたの埋没法と同様に医療用の糸を用いて下まぶたの皮膚と縫い合わせます。これによって下まぶたが内側に巻き込まれることを防ぎ、逆さまつげを解消します。軽度の逆さまつげの場合に用います。
切開法
まぶたを切開して余分な皮膚のたるみや脂肪を除去してから瞼の皮下組織を瞼板に縫い付けることによってまつ毛の方向を矯正します。主に埋没法で改善が難しい中〜重度の逆さまつげの場合に用いられます。
眼瞼下垂の治療
逆さまつげの原因が眼瞼下垂で起こっている場合、眼瞼下垂の治療を行うことで改善を目指します。
理事長 本間 理加 医師
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