白内障手術の費用は?
手術費用の目安や費用負担を軽減する方法について

白内障手術の費用について

基本的な白内障手術の費用は保険適用の場合、下記のようになります。

・3割負担の方:約45,000円
・2割負担の方:約30,000円
・1割負担の方:約15,000円

上記が白内障手術費用の参考となりますが、患者さまによって選択肢が異なり、一概には言えません。

例えば、
・眼内レンズの種類(保険適用の有無)
・手術を受ける時期(年齢)
・国の制度などの利用
などにより患者さまの負担額が変動します。

この記事では白内障手術を受ける際、患者さまそれぞれのケースにおける費用の変動について解説します。
また、白内障手術の費用を抑える方法についてもまとめているので、ぜひご参考にしてみて下さい。

目次

白内障手術とは?-白内障手術の現在

白内障手術とは、白く濁った「水晶体」を摘出し、ピント調整機能を持っている水晶体の代わりとなる人工の「眼内レンズ(単焦点・多焦点眼内レンズ)」を挿入する手術です。
現在の国内で最も身近な外科手術の1つで、年間160万件以上が実施され、ほとんどの眼科施設で日帰り手術が行われています。
術式や安全性が確立され、手術件数が増加しているだけでなく、日本の高齢化現象にも伴って今後の実施件数も増える見込みです。
そのため、患者さまが受けられる国の制度も充実しています。

白内障手術費用の参考-保険適用と眼内レンズ

白内障手術において水晶体摘出後に挿入される「眼内レンズ」には大きく「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2つがあります。
特に多焦点眼内レンズは多種多様なタイプがあり、メーカーや生産国、それぞれのレンズ特性に違いが現れます。
眼内レンズの種類によって、以下のように保険適用の有無が異なります。

・単焦点眼内レンズ:保険適用
・厚生省「承認」の多焦点眼内レンズ(選定療養):一部保険適用
・厚生省「未承認」の多焦点眼内レンズ(自由診療):保険適用外

白内障手術の費用の目安

単焦点眼内レンズ:保険適用

白内障手術で基本的に使用する眼内レンズは単焦点眼内レンズになりますが、ピントが合う距離が1点のみとなります。
そのため、焦点を設定した距離以外では、メガネや老眼鏡の装用が必要になります。
ただし、焦点が合う距離を見る際は質の良い見え方となるので、メガネや老眼鏡の装用が煩わしくない方には基本的に保険が適用される単焦点眼内レンズをご提案させていただきまます。

費用の目安

保険診療で定められてる手術費用そのものは、3割負担の場合「片目:36,300円」ですが、麻酔や薬剤費、リカバリ室の有無などの診療体制によって、施設ごとに多少の差異があります。
おおよその費用の目安として、以下の表を参考としてください。

単焦点眼内レンズ:保険適用

※現役並み所得者・・・住民税の課税所得が145万円以上の医療被保険者、および同一世帯内の医療被保険者の方
※赤文字表記*・・・高額療養費制度を利用した場合の上限額
3割負担の方は所得により上限が変動します。そのため大半の方が該当する還付後の費用「80,100円」で記載しています。

以上が単焦点眼内レンズを使用した白内障手術費用の目安です。
手術費用は保険診療で定められているので、全国一律ですが、リカバリ室などの診療の設備や体制によって、加算される費用が施設によって若干異なります。
具体的な費用は手術をご検討中の眼科施設へお問い合わせください。

多焦点眼内レンズ(選定療養):一部保険適用

多焦点眼内レンズとは、ピントが合う距離を2点以上に設定することが可能なレンズです。
多焦点眼内レンズによって日常生活の中のほとんどのシチュエーションでメガネの装用を必要とせず、裸眼でモノを見ることが可能になります。
「術後メガネの装用を極力減らしたい」、「まとめて老眼や屈折異常を治したい」という患者様にとっては多焦点眼内レンズの方が術後の生活がより良いものとなる場合があります。

選定療養とは、保険診療に加えて一部追加で費用負担をすることによって保険診療外の治療を保険適用の治療と併用して受けることができる制度です。
具体的には下記のようなものが該当します。
・差額ベッド代
・歯科治療で用いられる金属材料(差額)
・リハビリなど、規定された回数以上の医療行為
など

多焦点眼内レンズの中で、厚生省に認可されたレンズは「選定療養」が適応されます。
選定療養対象の多焦点眼内レンズでは、適用はレンズ代(単焦点眼内レンズが基準)含む手術費用が13割負担の保険適応となり、単焦点眼内レンズ代を差し引いて、残りの多焦点眼内レンズ代が自費負担となります。

当院で採用している選定療養の多焦点眼内レンズ

レンズの外観
名称 Pan Optix
パンオプティクス
FINE VISION
ファインビジョン
TECNIS Synergy
テクニスシナジー
TECNIS Symfony
テクニスシンフォニー
iSii
アイシー
Clareon Vivity
クラレオン ビビティ
光学部デザイン 3焦点回折型 3焦点回折型 2焦点回折型
+焦点深度拡張型
エシュレット回折型 2焦点屈折型 焦点深度拡張型
焦点距離(ピント) 遠・中・近
(∞・60cm・40cm)
遠・中・近
(∞・75cm・35cm)
遠〜近
(∞〜35cm)
遠・中
(∞・66cm)
遠・近中
(∞・50cm)
遠〜近
(∞〜40cm)
乱視矯正 なし あり あり あり なし なし
ハローグレア やや少ない 少ない あり やや少ない あり 少ない
生産国 アメリカ ベルギー アメリカ アメリカ 日本 アメリカ
メーカー Alcon Phys IOL Johnson & Johnson Johnson & Johnson HOYA Alcon

費用

詳しくはクリニックにお問い合わせ下さい。

医療費控除について

選定療養の多焦点眼内レンズは医療費控除の一部対象となります。
詳細は下記のページをご参照ください。

多焦点眼内レンズ(自由診療):保険適用外

自由診療とは健康保険が適用されない診療のことで、治療費用はレンズ代も含め「完全自己負担」となります。
多焦点眼内レンズの中で、厚生省が承認していないレンズが自由診療となります。
国内では未承認のレンズでも、EUやアメリカでの安全基準を満たし、それぞれの国で独自の承認を得ているレンズもあります。

当院では海外での評価や実績を踏まえ、術後の成績やメリット・デメリットなどを考慮し、院長自ら厳選した眼内レンズのみを採用しております。

当院で採用している自由診療の多焦点眼内レンズ

レンズの外観
名称 MINIWELL ready
ミニウェル・レディー
Intensity
インテンシティ
光学部デザイン プログレッシブ型 5焦点回折型
焦点距離(ピント) 遠〜近中
(∞〜50cm)
遠・遠中・中・近中・近
(∞・133cm・80cm・60cm・40cm)
乱視矯正 あり あり
ハローグレア 少ない やや少ない
生産国 イタリア イスラエル
メーカー SIFI Medtech Hanita

費用

インテンシティ 片目 561,000円(税込)
インテンシティトーリック 片目 638,000円(税込)
ミニウェル 片目 488,000円(税込)
ミニウェルトーリック 片目 517,000円(税込)

医療費控除について

自由診療の多焦点眼内レンズは医療費控除の対象となります。
詳細は下記のページをご参照ください。

白内障手術の費用を抑える方法は?

保険適用の白内障手術の場合、以下のような制度の利用や条件を満たすことによって費用を抑えれます。
・高額療養費制度の適用・限度額認定適用書の提示
・同じ月に両眼とも手術する
・70歳を超えてからの手術
・患者さまご自身で加入している医療保険の利用
それぞれ後述します。

高額療養費制度の適用・限度額認定適用書の提示

日本では白内障に限らず、高額な医療費によって家計の負担が重くならないような制度が設けられています。
個人の年齢や所得に応じて幾つかの条件を満たすことで、治療費の「一部払い戻し」や「窓口での支払額の軽減」が適用されることがあります。「高額療養費制度」や「限度額認定適用書」を利用することで、個人ごとに設定されている医療費の上限額(自己負担限度額)を上回っている場合、上限までの負担で抑えることが可能です。

同じ月に両眼とも手術する

「高額療養費制度」や「限度額認定適用書」を利用する場合、「ひと月」ごとに上限が定められており、上限を超える場合は「払い戻し」や「上限までの負担」で済みます。
白内障手術を両眼とも行う場合、基本的にはリスクを回避するために片目ずつ2回(別日)に分けて手術を行います。
「ひと月」ごとに上限が定められていることから、手術を受ける間隔を調整し、同月内に両眼の手術を行うことで、費用を軽減することが可能です。
以下が別月で片目ずつ受ける場合と同月内両眼受けた場合の費用を比較した一例です。

■72歳、2割負担の方の場合(ひと月の上限1万8千円)

・通常(制度利用無し)の白内障手術費用
片目:3万円、両眼:6万円

・高額療養費制度を用いて、片目ずつ別々の月に手術(両眼が月を跨いだ場合)
片目:1万8千円(上限が適用)、両眼:3万6千円

・高額療養費制度を用いて、両眼を同じ月に手術
片目:1万8千円、両眼:1万8千円(上限が適用)

したがって、同月内に両眼手術を行えば、手術費用の負担を軽減することが可能です。

70歳を超えてからの手術

「健康保険」をはじめ、「高額療養費制度」や「限度額認定適用書」などの制度は、自己負担限度額が「年齢」によっても変動し、その基準値が「70歳」となります。
白内障手術を検討する時期は目の状態やライフスタイルによって異なりますが、急いで手術を行う事由がない場合、70歳を超えてから手術を受けることで、費用負担割合が下がり、一月あたりの自己負担額も軽減されます。
しかし、白内障が仕事や趣味の妨げになったり、QOL(生活の質)が下がっている場合や、過度に進行した白内障の場合は70歳まで無理をして待たず、早めの手術を検討することが大切です。
手術を受ける時期については、かかりつけ医と十分に話し合いを行いましょう。

患者さまご自身で加入している医療保険の利用

ご加入されている医療保険によっては、手術に関する特約の中の条件などによって手術費用が抑えられる場合があります。
手術前に加入されている保険会社に確認を取っておくようにしましょう。

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、医療費によって家計負担が重くならないことを目的とし、設けられた制度です。
医療機関や薬局の窓口で支払う医療費がその月(1日〜末日まで)の上限額(自己負担額)を超えた場合に、超えた分が現物支給される制度です。
自己負担額については、患者様の年齢や所得によって異なります。

高額療養費制度

自己負担限度額(70歳未満の方)

自己負担限度額(70歳未満の方)

自己負担限度額(70歳以上の方)

自己負担限度額(70歳以上の方)

限度額認定適用書とは

窓口で支払った医療費が後から払い戻しされる高額療養費制度では、払い戻されるまでの一時的な患者さまの支払い負担は大きくなります。
同じ月で白内障手術やその他の治療によって医療費が高額になると予め分かっている場合には、「限度額適用認定証」を提出することで、窓口でのお支払いが自己負担限度額までとなります。
支払い額が抑えられることで、患者さまが一時的に支払いを建て替える必要がありません。

認定証の発行申請は以下で行えます。
・健康保険組合
・市町村の国民健康保険、後期高齢者医療制度
・国保保険
・全国健康保険協会
・共済組合

高額療養費制度の限度額認定適用書の違い

どちらも制度を利用しても最終的に「支払う費用」は同じです。
いずれも「自己負担額」を対象とした制度で、二つの制度の違いは以下になります。

高額療養費制度・・・自己負担額を超えた分も併せて先に負担し、後から払い戻しを受ける
→自己負担額を超える分の一時的な建て替えが有り

限度額認定適用書の提示・・・事前に申請することで、自己負担額(上限額)のみの負担
→自己負担額を超える分の一時的な建て替えが無し

まとめ

・眼内レンズの種類によって保険適用の有無があり、白内障手術の自己負担額が変動する

・眼内レンズには保険適用の「単焦点眼内レンズ」、一部保険適用の「選定療養の多焦点眼内レンズ」、保険適用外「自由診療の多焦点眼内レンズ」の3種類がある

・「高額療養費制度」や「限度額認定適用書」などの国の制度を利用することで、個人ごとに設定されている上限額(自己負担限度額)までの負担で抑えることができる

・「健康保険」をはじめ、「高額療養費制度」や「限度額認定適用書」などの制度は自己負担限度額が「年齢」によっても変動し、70歳を超えてから手術を受けることで費用を軽減することが可能

お問い合わせはこちら
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休業日/日・祝
この記事の監修者
院長先生の写真
医療法人七彩
理事長 本間 理加 医師
これまで大学病院に長く従事し、白内障手術をはじめとして、網膜硝子体手術、緑内障手術、眼瞼下垂、角膜移植など様々な眼科手術に豊富な執刀実績を持ちます。現在医療法人七彩の理事長として川越エリアを中心として手術に特化した眼科クリニックを2医院展開しています。

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